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こんな時くらい「ブタ」にも優しくしてくれ

こうして「ブタ」に任命された私。

どれだけ夫に冷たくされてもどうしても離婚したくなくて、今、目の前にいる息子を明るく笑顔で一生懸命育てていれば、きっと夫は考え直してくれると思い、辛い時が過ぎるのをひたすら待った。

でも心は正直。

息子の前で笑顔を見せよう思ってもどうしても涙があふれてくる。夜も考え事ばかりで、ただでさえ睡眠不足だと言うのに、ますます眠れなくなっていった。

でも子育ては待ってくれない。

決して息子が悪いわけではないんだけど、どこかで睡眠時間を確保しないと自分がどうにかなりそうだった。やっと眠れる日が出来たと思ったら、そんな時に限って息子は熱を出す。当時住んでいた場所は比較的雪が多く降る地域。夫の転勤で引っ越して来たばかりだったので、夫以外、誰も頼れる人がいなかった。

でも雪が積もろうが子供は容赦なく熱を出す。小児科へ行く前に、まずは雪かき30分。息子を背負っての雪かきは危険なので、玄関内を温かくして寝かせる。けれど、すぐに泣きだし雪かき中断。何とか雪かきを終える頃には1時間以上が経過していて、息子の熱は40度になっていた。

雪かきをしているコブタ

雪道を運転するのは怖かったけど、なんとか午前中の診察時間に間に合った。午後から休診と聞いていたので本当に良かった。

でもホッとしたのもつかの間、病院帰りの車内でふとバックミラーを見ると、チャイルドシートに座っていた息子が白目をむいて口から泡を吹きだし、ブルブルとけいれんし始め意識がなくなっていった。

「息子が死ぬ」

恐怖のあまり自分がどれくらいのスピードを出したか覚えていないが、午前中に診察してもらった病院まで必死で運転した。今思えば私の運転のせいで誰かをひいていたかもしれない。考えるとぞっとするが、その時は完全に自分を見失っていた。この子の母親は私しかいないのに、全く冷静になれなかった。

病院へ到着。パニック状態の私は、とびらの横にインターフォンがあるのに、大昔のドラマみたいに、「ドンドン!ドンドン!」と何度もドアを叩いた。午後から休診のクリニック。
でもご親切にすぐに開けてくださった。

病院のドアをドンドン叩いているコブタ

熱性けいれんだった。

このけいれんが起きた時は、嘔吐物が気管に入らないよう注意し、けいれんが治まるまで静かに待つしかないそうだ。聞いたことはあったが、実際にそうなると本当にパニックになる。

熱性けいれんは精密検査が必要なものと、しばらく様子を見るものとあるらしい。息子のけいれんは様子見でOKなもので、本当に生きててくれて良かったとたくさん涙が出てきた。先生やスタッフの皆さんにお礼を言って、泣きながら何度も何度も頭を下げた。

駐車場へ戻ると、エンジン付けっぱなしでドアも開けっ放しの車が停めてあった。冷静さを失ったまま運転していた私の車だった。本当にホッとした。涙が滝のごとく出てきた。

でも外は雪。

涙が凍って顔の皮膚が痛かったけど、そんなのどうでも良かった。息子の熱性けいれんのことを夫の留守電に入れておいた。そしてこの日はうちに帰ってきてくれた。でも相変わらず私には冷たい。

優しくしたら私が勘違いしそうだもんね。
でもこんな時くらい優しくしてよ。

私、頑張ったよね?
ブタなりに、精一杯よく頑張ったよね?

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